自殺という淘汰圧と適応性etc.

自殺は目的ではなく手段である。
何の手段か。
打開の手段。
(結果はともかく)現状を、状況を、変化させるための手段。

ヒトにおいては抑うつが自殺を招くとされることが多いが、自殺という概念&(状況変化を起こすための)手段を提示されていない状態では、自暴自棄の結果としてそこに至ることはあっても、自殺率は軽微なはず。
自殺の名誉不名誉にはかなりの文化差がある。
宗教上の引きずりで不名誉な自殺、資源上の限界から来る名誉な自死、構造的思考枠の中での矛盾解消ポイントとして設定される自殺、はたまた宗教上の名誉としての集団自殺。
はなから「不名誉なはず」と始めてしまうような 自文化中心主義にはご注意を。
自殺行為自体には、良し悪しという価値はない。
価値は後付のもの。価値は文化環境によりけり。
実例は、特に自殺に限って例を集めようとしたことはない&資料を探しきる時間が今ない、のであまりいいのを出せないなぁ。
少なくとも、古代中国には故老は自分で生きて墓に入る習俗があった。

経時的・通世代的ナリユキ(存続可能性)で考えると、繁殖率以上に自殺が発生すると当然絶えますね。死に絶える。
極端な話、カルト宗教、信者全員で集団自殺しちゃったらもうその宗教(名誉な自殺という考え方)は絶えちゃいます。
繁殖が難しい場所で繁殖率を越えるほど自殺を良いことだとして奨励すると絶えちゃいやすい。
なお、絶えることは悪いことではない。
絶えること自体には良し悪しはない。
価値は後付のもの。
価値は文化環境によりけり。

単に自殺を良いことだとすると、それが過剰であったらその考え方の人は早々に死を選んでしまい自己正当化の理屈がのちに残りにくくなるだけ。
繁殖は可能だが資源が限られている場所では、高齢世代の自殺を文化的に制度化し奨励すると子孫の存続可能性が高まることがある。やや悲惨げな”うばすて”制もあれば、先の古代中国の例や日本の即身仏のように名誉の入定(あの世の世界に入ること)てのもあり。
繁殖は可能だが資源が限られている場所では、血縁にダメージや負担を与えるような個体は自死or遺棄たることを奨励する例もある。切腹、村八分、血縁淘汰。
小子化は「繁殖が難しい環境」に近い機序になることが考えられる。
数少ない子に過剰な投資を注ぐので、いきおい「子の死」はとんでもない事態ってことになる。
核家族化で近隣や血縁とのふだんの互助が疎遠な環境では、壮年でも高齢でも自殺は近親者にとって大ダメージ、チョー悲惨な事態扱い。
まぁ一般的には、自殺を悪いことだとする自己正当化の理屈を持つ人間のほうが、生に執着するぶんだけ自分の考え(生きることは良いナルシスム)を吹聴しやすくてのちに残りやすいわけなのだが。

あと、「自殺」の忌み嫌いと「死」の忌み嫌いがうまく弁別できず混同され「自殺観」の把握がかく乱されることもあるのでややこしかったりする。
進化医学的には「死」のサインや傷病のサインを忌み嫌うような性質を持つ個体のほうが生き延びやすかったのだ、という視点もあり。
2004/02 日本語記事 X51.ORG : 「嫌悪」のメカニズム - 不快感の根源に潜むものとは
2004/02 New Scientist Disgust evolved to combat disease
2004/02 New Scientist Disgust is good for you, shows study
2004/02 Discovery Study Explains Why Humans Feel Disgust

で、最初に戻る。
自殺は目的ではなく手段である。
何の手段か。
打開の手段。
(結果はともかく)現状を、状況を、変化させるための手段。
自殺を招くのはうつだけではない。
状況の硬直と密接に関係する鬱状態。
重すぎるうつ病では自殺さえできなくなる。
はんぱな鬱状態で状況を打開しようとしたときに、その手段のひとつとして選択されるのが自殺。
状況を変化させる手段は自殺だけではない。
美容整形や歯列矯正を選択する層は、自殺企図率が高め。
「豊胸手術と自殺の共通点」
犯罪をおかすものも、家庭内暴力をふるうものも、自殺企図率が高め。
現状を打開するために、とられる「思い切った手段」、そのひとつが、自殺。
自殺を忌避すべきものだと考えるのであれば、うつ病心理を十分理解した上でという注釈付きではあるが、自殺以外の「効果的な状況改変手段」を提示するのも手であろう。
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