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2004.02.07

憑霊の民俗 六部殺し

cover
「憑霊の民俗」

 川島秀一著
 三弥井書店 2003/08
 [ Amazon ] [bk1]

 表題は憑霊だが、憑霊にこだわらず過去の民俗論文を収録。オススメ。goo

[ 著者は気仙沼の図書館にお勤め ]
気仙沼を中心とした東北地区の民俗習俗をフィールドワーク含め資料をもとに考察。
カツオ船と船幽霊(1)、
  巫女とオシラサマ祭文(2)、
    六部伝承の話(3)    がメイン。

 大漁祈願の言葉のTPO
 お船霊(ふなだま)の座と水死体を乗せる場所の位置関係
 盆に大量発生して船幽霊の代替におさまる水クラゲ
 アワビ貝にタコが乗って海面を行く吉兆の兆し「蛸船」
 マンボウは魂が入っているので特別扱い
 掃除道具の貸し借りで漁の運が左右される
 海で死んだ人間が祟るボウコン(亡魂)

 いや興味深い。
 しかもボウコンマケという水死人が祟りがちな家系ってのまであるとは。

●右画

 え〜と、ジンベエザメはカツオの大漁をもたらすので喜ばれる、ジンベエはカツオに追われたイワシを食べるゆえ、という話が記してあるんだけど、ん? ジンベエザメの食事はプランクトンや小魚ではなかったっけ?
 あ、水族館でジンベエザメにあげるエサ(1a)にはイワシも含まれるとのこと。そうか、イワシのサイズって小魚なのか。どうも小魚というともっともっとちっこいのを想像してしまうので…。(ちりめんじゃことか畳鰯とか、…あ、どっちもイワシじゃん!('.';))
  ジンベエザメは立ち泳ぎで食事する(1b)そのさまも記してあって(当該書p.61)、妙に勉強になってしまった。
(1a) [ ジンベエザメに抱きつく日 ] BK1
(1b)[ <海遊館>生きもの紹介ジンベエザメ ]

●右画

 亡霊を ミサキ (2a)と称する地方の分布はどの範囲なんだろう。関西かと思っていたけれど( 七人みさき(2b)の影響)宮城県唐桑でもミサキというらしい。「みさき」ではゴミが多すぎて検索しづらいや。どなたかこのあたり(分布範囲&時代)ご存じありません?
(2a)[ ミサキ神 ミサキがみ ] 地球旅行研究所(R)(略称:旅研)
(2b)[ 七人みさき ]

挿画

 巫女の口寄せ、梓弓(あずさゆみ)の使い方が記されている。
 弓を打つ音が死霊を降ろす音。
[ 巫女が伝える目連救母伝説 —陸前北部の口寄せ縁起 ] 川島秀一(気仙沼市図書館)

挿画

 六部(ろくぶ, 六十六部(3a))は 明治四年(1871年)に太政官(だじょうかん)の布告によって禁止された (3b)のだそうだ。その通達にも関わらず実際には昭和初めごろまで六部たちの全国行脚はつづいていたと。
(3a)[ 土佐は鬼国(おにぐに) ] シルバー回顧録
(3b)[ 近代日本の宗教弾圧年表 ] 牧口常三郎・戸田城聖とその時代

挿画

(そういえば サンカ/山窩(4a) はいつごろまで存在していたんだろう? つい最近まで(4b)現役がいたという話もあるようだけど)
(4a) [ 【資料】 サンカ(山窩)とは ] ★阿修羅♪
(4b)[ あおきさんのサンカ探訪レポート ] 熊野ライフ

挿画

 修験が廃止されたあとに祈祷関係の作業を引き受けたのは寺社の上人やヨリたちであった、なかなか退散しない悪霊は特に宗教的職能者の霊(六部の霊)の祟りとされることがあった、とし、”六部殺し”伝承はそれら寺社の上人やヨリたちがこしらえた話であることが多いだろう、と示唆している。
※ 六部殺し伝承:
小松和彦 「福の神と貧乏神」 筑摩書房 1998
小松和彦「異人」(所収: 「新しい民俗学へ 野の学問のためのレッスン26」 小松和彦編 せりか書房 2002/11 p.212)  
京極夏彦 「姑獲鳥(うぶめ)の夏」

挿画

この著者の前著も読んでおいたほうがいいかな、とは思うのだけれど、あいにく市内の図書館には蔵書なし…。
本ミニ 「ザシキワラシの見えるとき—東北の神霊と語り」 三弥井民俗選書 川島秀一 1999


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●情報庫: 民俗学

メタル

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