怪異の原因としての狸・狐
Tokyo Fuku-blog:現代民話考[11] 狸・むじな に思わず延髄反射。
「怪異」の原因として扱われる「タヌキ」についての考察、例えば京極夏彦氏の
「豆腐小僧」

怪異の原因は古来から種々考えられ想定されていたものが、大陸から狢(むじな)の観念が輸入され地元のタヌキと混淆(こんこう)し(前後関係うろ覚え・ご容赦を)、ひいては種々の原因をどんどん還元する対象として、タヌキという存在&概念はすこぶる便利であったと。
多田克己氏によれば、中国では狐は「陰」、狸は「陽」として、陰陽の組み合わせで語られることが多かったとのこと。
その関係で、陽性で男に化ける狸、陰性で女に化ける狐、という性質の対称性もあったりするのだそうな。
(
多田克己「幻想世界の住人たち4 日本編」 新紀元社 1990)
2005/01/25加筆:
さらに遡れば、狐狸が担うようになった”怪異役”は、古くはヘビ〜オロチのような アノマリーな生物 が主に担っていた。
山内昶著「もののけ 1」
p.203
中世までヒトがキツネに化身する話は同じくゼロであり、近世になってやっと一・八%みられるにすぎない。あとはすべてキツネがヒトに化ける例ばかりで、『今昔物語集』で三〇%、中世説話集で一八・九%、近世説話集では三八・五%の比率になっている。キツネは哺乳類だから爬虫類に属するヘビより人間に近いはずなのに、なぜヒトはキツネに変身できなかったのだろうか。その理由は、神威性の濃淡による心理的距離の遠近差にあったのではないかと思われる。既述のようにヘビの子孫は大王家や中央豪族の開祖になったが、キツネの子孫はせいぜい地方豪族の始祖になりえたにすぎない。
時代時代で意味役割が変遷してきた狐狸。

ヒトがヘビに化身する例は少なくなかったのに、ヒトは狐には化けがたかったらしい。
ヘビはヒトの念の化相として表象されるが( 娘道成寺) 、キツネやタヌキは憑き物や使役獣にはなっても怨念そのものとしては扱われなかった。
狐はヒトと婚姻することがあったが、たいがい女性に化けて嫁に来る形であり、ヒトの婿になる例はまれだった。
(宮家準著
「宗教民俗学」 東京大学出版会 1989 p.341)
中沢新一著「森のバロック」 せりか書房 1992
p.203
日本に住む動物の中でも、狐はもっとも賢く、人々の関心を引きつけてきたが、同時にその生態は謎につつまれていた。狐は、古代における死体の埋葬場所であった塚を住処にすることが多く、死の領域に近く生活する霊界との媒介者であると、考えられていた。また狐の優美な容姿は、この魅惑的な動物をしばしば性の誘惑者として、描かせることにもなった。

なお、日本に昔からいる動物でも、サルについては神性はあっても人間には憑依したりヒトを化かしたりする傾向はなく、日本人にとって特殊な位置にある動物であった、との指摘あり。
(大貫恵美子著
「日本文化と猿」平凡社 1995 p.35)
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