ミイラとゾンビと吸血鬼
![]() 「ミイラはなぜ魅力的か 最前線の研究者たちが明かす人間の本質」 へザー・プリングル著 早川書房 2002/06 [ Amazon ] [bk1] (原書:2001/The Mummy Congress) |
いきなし「人類みなネクロフィリア!」みたいな題にされてるが原題は単に「ミイラ会議」。別に「人間の本質を明か」してもいないようだし。

それはそれとして内容は
・定番のエジプト
・南米インカやアステカのミイラ研究と
ナショナルジオグラフィックの過剰報道が
およぼした研究へのダメージ
・勘違いが原因で流行してしまった薬としてのミイラや
ミイラを原料にした絵の具
・沼地で発見されたボッグマン
・インコラプティブル:聖人は腐敗しない伝説と
エンバーミング(死体保存技術)
・皮と仮面の謎のチンチョーロ人
・高温多湿でもミイラできるのかと驚かれている日本の即身仏
等々と広範囲で語り口もうまくオススメ。
※ ボッグマン(bogman):オランダの沼地から発見された特殊な死体群
Bog Bodies The Girl of Yde @ Drents Museum - Archeology (イデ娘)
BODIES OF THE BOGS @ the Archaeological Institute of America
●ボッグマン(bogman)についてはこの本が詳しい。
「甦る古代人 デンマークの湿地埋葬」 P.V.グロブ著 刀水書房 2002/10 (原書1965)
実に保存状態の良いリアルな写真資料がたっぷり拝めます。
チンチョーロ・ミイラについては、新大陸人類移住の道程とか南米の宗教観と海洋民族の涅槃観、いろいろいもづるできそう。

で、この本はぜひ
「ヴァンパイアと屍体:死と埋葬のフォークロア」
ポール・バーバー著
工作舎 1991年(原書1988) [ Amazon ] [bk1]
と読み合わせオススメ。
ヒト死体の自然な腐敗変化が「死後の生きた活動」と見なされ吸血鬼やゾンビ扱いされてきたそのさま・機序を民俗学的に詳細に検証した本。
動く死体、叫ぶ死体、破裂する死体。
ヒト祖先の葬送行為の起原もこれ読むと理解できる感じだし、昨今たまにある「死んでも生き返る」ミイラカルト由来の参照にもなる。

死体はどのようにゾンビよろしく活動しえて、それら動く死体に衆生はどう対処してきたか、その中でのミイラという有り様の位置を考えると…。
※ 九相詞絵巻/九相詩絵巻(くぞうしえまき)
ゲテモノが嫌いな人は見ないように
Kusoushi by 青木淳
九相詩絵巻 by Yusuke.Kikuchi

2006/05 蛇足追記:
●日本のミイラについては湯殿山系即身仏が有名。
藤井正雄「骨のフォークロア」 シリーズにっぽん草子 弘文堂 1988
山内志朗「湯殿山即身仏考(一)一世行人における生と死の作法」
(所収:青土社 月刊「現代思想」 1993/11 vol.21-12)
>日本に現存する即身仏一六体のうち、十体は湯殿山での修行を経ている
湯殿山系即身仏
へぇボタン:へぇ〜
と押してみるもよし

| 固定リンク







コメント