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2004.02.26

ミイラとゾンビと吸血鬼

cover
「ミイラはなぜ魅力的か
 最前線の研究者たちが明かす人間の本質」

 へザー・プリングル著
 早川書房 2002/06
 [ Amazon ] [bk1]
 
(原書:2001/The Mummy Congress)

 いきなし「人類みなネクロフィリア!」みたいな題にされてるが原題は単に「ミイラ会議」。別に「人間の本質を明か」してもいないようだし。
右画
 それはそれとして内容は
   ・定番のエジプト
   ・南米インカやアステカのミイラ研究と
    ナショナルジオグラフィックの過剰報道が
    およぼした研究へのダメージ

   ・勘違いが原因で流行してしまった薬としてのミイラ
    ミイラを原料にした絵の具
   ・沼地で発見されたボッグマン
   ・インコラプティブル:聖人は腐敗しない伝説と
    エンバーミング(死体保存技術)
   ・皮と仮面の謎のチンチョーロ人
   ・高温多湿でもミイラできるのかと驚かれている日本の即身仏
等々と広範囲で語り口もうまくオススメ。

※ ボッグマン(bogman):オランダの沼地から発見された特殊な死体群
Bog Bodies The Girl of Yde @ Drents Museum - Archeology (イデ娘)
BODIES OF THE BOGS @ the Archaeological Institute of America

ボッグマン(bogman)についてはこの本が詳しい。
   ●本ミニ「甦る古代人 デンマークの湿地埋葬」 P.V.グロブ著 刀水書房 2002/10 (原書1965)
 実に保存状態の良いリアルな写真資料がたっぷり拝めます。

 チンチョーロ・ミイラについては、新大陸人類移住の道程とか南米の宗教観と海洋民族の涅槃観、いろいろいもづるできそう。

虹帯

coverで、この本はぜひ
  本ミニ 「ヴァンパイアと屍体:死と埋葬のフォークロア」
   ポール・バーバー著
   工作舎 1991年(原書1988) [ Amazon ] [bk1]
と読み合わせオススメ。

 ヒト死体の自然な腐敗変化が「死後の生きた活動」と見なされ吸血鬼やゾンビ扱いされてきたそのさま・機序を民俗学的に詳細に検証した本。

 動く死体、叫ぶ死体、破裂する死体。

 ヒト祖先の葬送行為の起原もこれ読むと理解できる感じだし、昨今たまにある「死んでも生き返る」ミイラカルト由来の参照にもなる。

挿画

 死体はどのようにゾンビよろしく活動しえて、それら動く死体に衆生はどう対処してきたか、その中でのミイラという有り様の位置を考えると…。

※ 九相詞絵巻/九相詩絵巻(くぞうしえまき)
 ゲテモノが嫌いな人は見ないように

Kusoushi by 青木淳
九相詩絵巻 by Yusuke.Kikuchi

〓ガラス棒〓

2006/05 蛇足追記:

●日本のミイラについては湯殿山系即身仏が有名。
  ●本ミニ藤井正雄「骨のフォークロア」 シリーズにっぽん草子 弘文堂 1988
  ●本ミニ山内志朗「湯殿山即身仏考(一)一世行人における生と死の作法」
    (所収:青土社 月刊「現代思想」 1993/11 vol.21-12)
     >日本に現存する即身仏一六体のうち、十体は湯殿山での修行を経ている
 ●ネット 湯殿山系即身仏


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