社会生物学の不戦勝?
![]() 「社会生物学の勝利 批判者たちはどこで誤ったか」 ジョン・オルコック著 長谷川真理子訳 新曜社 2004/01 [ Amazon ] [bk1] 原書:2001, The Triumph of Sociobiology John Alcock |
原書出版当初そんなに話題にならなかった本。
長谷川氏としては、何かの手間が省けるからこの本を選んで訳したのかな。
日本では勝利云々以前に、ろくに論争さえ見かけていないわけで。
あちらでは、なんでまたこんな闘いよばわりな状態になるんだろう。
(日本人も、英米の大学で研究していると「自由意志」だの「ブランクスレート」だのという論争や思考スキーマに染まりなじんでしまうらしいが)
「勝利」と自称する神経がこれまたわからないし、グールド死んじゃったし。
まあ、進化心理学を学生に教える際にはこれ読ませておくと便利なんだろうな、社会学方面とかから安直浅慮なヨコヤリが来たときなんか、これ一冊読ませておくとたいがい落着なんだろうな、とかは思うけど。
個人的には進化心理学系邦訳は、長谷川フォーラムセレクションだけでなく、この本でくくられるところの負け組側書物も出てほしい感じ。(有名どころの海外モノ。国内竹*久*子批判の類じゃなく)

国内といえば、日本で生じる進化心理学反感、社会生物学批判ってどんなものがどこにあるのかな。
一種希少価値なのかもしれないけれど、リストアップがあると海外との比較がしやすく便利かもしれない。
反面、進化心理学反発の低さは単に
・知名度が低い、知見が普及していない
・曖昧な問題点理解でもテキトーにやっていけている
のごとき国内状況のあらわれかもしれないが。
「なぜなぜ話屋」のごとき汚名を晴らすには@進化心理学
2004/03 The Scientist Mind--The Adaptive Gap
Evolutionary psychologists try to shed the just-so story stigma
当該書
「社会生物学の勝利」は、
”社会生物学や進化心理学とは何なのかがだいたい見えてきたかな”
という段階以上の入門者にオススメ。

あ、もしかして行動遺伝研究擁護の目的もあって邦訳したのかな?
研究者には、外野からのツッコミをうざがって渉外を避け、自分野の城に引きこもってしまう人もいる。
でも、外野や異分野との渉外をおざなりにする研究は”適切な路線、適切な手法、適切なタイミング”を掴み損ねて、よりましに発展の可能性を狭めるだろう。
めんどうでも、外野の動向を見聞きし、対処のコツを練っておけば(もしくは渉外に長けた人材や相方を確保しておければ)「なぜ自分の研究はこんなに反発を招くのか」とエキセントリック科学者なポジションに陥り籠もるようなこともなかろうに…。
でもそのような分野研究を選び就く人は、もともと持ち時間をオーバーしてでも一方的に自己弁護をまくしたてるような狭視野テンパリなパーソナリティだったりするからこそ、そのような分野研究を選んでいたりするんだろうし その分野に集まる研究者の性向偏りと分野内容の相互作用、みたいな悪循環も一部にはあるんだろうなぁとか思ったり。
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