弱肉強食か平和主義か
自然は弱肉強食だと思いますか?
人類史は戦いの歴史だと思いますか?
そう思っている場合、それはあなたが「弱肉強食の部分」「戦いの部分」しか見ていないだけではありませんか? もしかして争いを特にピックアップ強調するような偏見色つきコンタクトを装着中?
あなたは朝起きてから寝るまで戦ってますか?
よく考えると戦ってない時間の方が多くはありませんか?
歴史上、戦わなくても生き延びてきている人間は多くはありませんか?
動物は朝起きてから寝るまで戦ってますか?
よく観察すると戦ってない時間の方が多くはありませんか?
自然界には戦わなくても生き延びている生物は多くはありませんか?
人間は平和主義な生き物ではない。闘い好きな生物でもない。
皮相な性善説性悪説二元論は卒業すべし。
「本来」という語を使いたいのであれば、本来そこに意味はない。善悪しかり。勝ち負けしかり。
『自分は「進化」を正確に理解できている』と考えるのであれば、そこには 意味はないことも察知できておいてほしい(価値観とは次元が異なる事象)。
進化や自然に意味を見たとき見えたとき、見えたものはおのれのナルシスムの投影、自己願望の投影にすぎない。そういう自戒をやれる人はやっておくべき。
これまでの人生、蹴落としを是とし、俺はほかより上になるんだ、失敗して負け犬になるのはいやだ(負け犬を見下げている)、受験戦争を過ごし会社に尽くしエリート人生を歩むことを是としてきたぞ、みたいな層にありがちな、脆性高めな自己正当化&無神経な物言いをしていないか。
科学言説に紛れ込む個人のナルシスムの投影、自己願望の投影に注意。
たぶん ゲーム理論 も見ておくと、皮相な性善・性悪二分論からの卒業はよりしやすくなると思うし、政治考察にもかなりプラスになるんじゃないかな。
平和条約の安定は数学から ゲーム理論で紛争和解交渉をスマートに
2003/12 ★ Nature Science Update Mathematics could stabilize peace treaties
Game theory might help draw up war settlements.
ついでに、至近因と遠因の混同について。
行動の至近要因とその機能的帰結を混同することによって起きる混乱と問題は過日紹介の 『社会生物学の勝利』(このタイトルは勘弁してくれ)にも言及あるのでこの本を参照しておいてくれると説明の手間が省けて助かる。
昨今ではNHKの「地球・ふしぎ大自然」が至近因と遠因の混同で私的に気持ち悪い番組の代表。
1・こうして繁殖率を上げているのです
2・生き延びようと必死なのです
3・みごとな戦略を編み出しました
これ至近因と遠因をもののみごとにごっちゃにして市井の科学的自然観の攪乱に荷担している。よく耳にする表現なので「どこがおかしいの」と首かしげるむきはぎょうさんいらっしゃるんでしょうけれど、個体の動機と、それが世代交代を経て現れる結果的効果は別物なんであって、いっしょくたにされるとどうもお尻がむずむずいずくなる。
1・こうして繁殖率を上げているのです
┗そうするような性質を持った個体が結果的に繁殖にいたりやすいのです:ここでこうすれば子供ができる繁殖率が上がる、とわかってやってる動物はこの世にいったいどのくらいいるってんだよ性欲に駆られてるだけじゃん
参照: 「セックス依存症」
2・生き延びようと必死なのです
┗そのような感情反応であがくような性質を持つと個体が生き延びる確率が高かったので、そんな性質を持つ個体ばかりが残ってしまってきています:生きようとして必死なのではなく特定の環境情報に接するとそれを避けるような反応しちゃうだけじゃんかよ
3・みごとな戦略を編み出しました
┗結果的にそういうしくみにはまる性質を持つ個体がこの環境では生き延びやすかったのです:誰も戦略も何も編み出しとらんわな
ものごとの趨勢を「弱肉強食」と表現してシラッとしている人や番組、そりゃ科学的にはいまどき時代遅れ、非科学的言説。
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