おばあさん仮説、閉経、繁殖
昨日今日沙汰されはじめたわけではない「おばあちゃん仮説」。たまにこうして検証データが流れる。
2004/03 【日本語記事】子孫繁栄のキーは「おばあちゃん」 祖母の存在が家族に与える影響は大 JAPAN JOURNALS LTD.
18〜19世紀の農村社会女性@フィンランドとカナダ
子供が繁殖期を終える頃に祖母の寿命が尽きる率が高い
2004/03 【日本語記事】 Nature 進化 : 長生きおばあちゃんのひみつ
ヒトの寿命:おばあちゃん効果
2004/03 Nature 428, 128- 129 Human longevity: The grandmother effect
進化:女性の生殖期後の寿命が長いことによる適応上の利益
2004/03 Nature 428, 178 - 181 Fitness benefits of prolonged post-reproductive lifespan in women
2004/03 BBC News Grans 'live longer to be carers'
2004/03 The Economist Grandmother's footsteps
2004/03 FuturePundit: Long-Lived Grandmothers Increase Childbearing Of Their Children
2004/03 The Globe and Mail Role of grandmothers crucial for tree of life
More children live to adulthood when older women are around
書籍でじっくり読みたい人には:![]()
「ヒト、この不思議な生き物はどこから来たのか」 長谷川真理子編著 ウェッジ 2002/05
「ボケの前兆をつかまえた」 正高信男著 紀伊国屋書店 2001/04
なぜ人間の女性は閉経するのか。
生き続ける限りヒトメスが繁殖し続けないのはなぜか。
進化医学系かな。

おばあさんの重要性
ヒト先史時代における祖母(閉経後ヒトメス)の役割検証
2002/11 ★ New York Times The Importance of Grandma
「生殖力を失ったあとも長いこと生き続ける」というよりは、「ある程度以上の年齢に達すると自分で繁殖するよりは血縁びいきで貢献するほうが結果的に血縁淘汰で繁殖率が向上しやすかった」という話。
・文化の可塑性、情報の蓄積、高いと有利
┗脳が大きいことが条件(ただしほどほどに。大きすぎると逆効果)
・脳が大きくあるには
┗出産時に赤子の脳が大きいとお産が危なくなる
┗産後に脳が発達する個体が有利
┗未熟な脳の、でくのぼうな赤ちゃんとして生まれても、
無事に育つことができる環境条件が必要
もとより人の死亡率は幼時が最も高いもの
・未熟な脳で、でくのぼう状態で生まれる子が生きのびるには?
┗育児の負担がでかい。共同で育児にあたると有利、でないと母子ともだおれ
┗共同で保育できる知能→より育児上手&高知能児増加→さらなる育児知識蓄積
育児知識の蓄積と、複数個体の関与による育児が、人間に繁殖の有利さをもたらした。
ひいては、人間の幼体は「核家族や母一人」ではなく「複数人による共同育児」で育てられることを前提にして生まれてくるかのような状態になるに至っている。

自力で成長することが難しい、世話を焼かれなければ育たないヒト幼体。
誰が世話を焼くか。兄弟か、親族か。
お年寄りが育児に参加する、この条件が進化上大きかったのだろうと。
老いて先行きヤバイかもしれない個体が自ら無理して繁殖して子と共倒れになるよりは、血縁のある個体の繁殖を助け貢献したほうが繁殖率が良かったろうと。
逆に言えば、閉経があってこそ、幼時に世話を焼かれなければ育たない状態がいや増すことができ、子孫が殖え頭もより良くなったと。
関連書籍もういっこ:
「老化はなぜ起こるか
コウモリは老化が遅く、クジラはガンになりにくい」
スティーヴン・N・オースタッド著
草思社 1999(原書1997/Why We Age)
ここでは「おばあさん仮説」の名称が「良いお母さん仮説」と訳されていた。
血縁淘汰は閉経云々だけにとどまる話ではない。
子に対する親の態度は血縁の有無で率が異なるとか、しゅうとめさんが孫の死亡率を(おばあさん仮説とは逆に)あげてしまうというデータもあったりする。
姑の恐怖@18〜19世紀のドイツ農民層調査
父方のおばあちゃんが近所にいたら子供の死亡率が倍だった
子孫の血筋、父方としては疑いをぬぐいきれなかったから?
2002/09 BBC News How mothers dominate family life
2002/09 New Scientist Mothers-in-law increase child's risk of death
孫の生存率は、祖母の的確な協力があってこそ、上がる。
祖母が嫁と仲が悪かったりすると、孫の生存率を上げる効果をもたらしてくれない。
何より、母方のおばあちゃんならちゃんと孫の生存率をキープしてくれている、というのが興味深い。
まぁ、こういう微妙な部分は文化差・習俗差も加味して考えなければならないだろうので、充分な検証なしの即断ははばかられるところではありますが。
以前、社会学系で「そんな差別的な仮説っ」と激高なさっていた方、その後どうなさっていらっしゃるのでしょう?何か展開がありました?

関連記事追記:
年寄りの知恵あってこその人類進化
3万年前にみられる寿命変化と人口増加 おばあちゃん仮説
2004/07 New Scientist Elderly crucial to evolutionary success of humans
2004/07 EurekAlert Old is young, study finds
The number of people surviving to an older age more than quadrupled during the early Upper Paleolithic Period
2004/07 Betterhumans We May Owe it All to Longevity
2004/07 BBC News Grannies gave evolutionary boost
2004/07 Discovery Longer Lives Made Civilization Possible
cnn.co.jpは「おばあちゃん効果」と称してくれた。
誰か名称統一してくれ。
愛情のドライな事実
孫をえこひいきする爺ちゃん婆ちゃん、えこひいき度が血縁度に相関しています
2004/06 The University of New South Wales Why grandparents prefer certain kin to others
こちらもご参照を
2006/07 『人間は更年期前に死ぬのが普通だった説?』
参照用追記:
2007/05 おばあさん仮説から、石原慎太郎の『ババァは有害』発言に至るまでの伝言ゲーム 
追記:
将来の世代の成功を確実にしてくれるのは、じいさんではなく、ばあさん
2007/07 BBC News Grans not grandpas 'extend life'
更年期を越えて長生きしているおばあちゃんがいると、孫が栄えます
もっといいのは、じいちゃんばあちゃんが、働き盛り夫婦の家庭を守ってくれることなんだけどね
・
「おばあちゃん仮説」はありでも、「おじいちゃん仮説」は成り立たない
2007/08 The Royal Society Selection for long lifespan in men: benefits of grandfathering?
男性における長寿の淘汰:祖父役の効果はいかに
長生きするじいちゃんこそ、子孫の繁殖率に全然貢献してない
ばあちゃんは、子孫の繁殖に貢献してくれるのに
・
おばあちゃん仮説 更年期が進化したわけを検証する
2007/10 The Royal Society Testing evolutionary theories of menopause
2つの主な進化仮説
母の年齢に特有の死亡率リスクから保護する
祖母として、孫の育児にプラスになる
最近の理論上の仕事は、指し示す — 更年期が進化上の利点を与えることであるならば両方の要素が協力して必要
ガンビアからの研究

さらにその後。
閉経後の長寿へのヒト進化
母が長生きだと、娘の生殖力は控えめになる
2008/03 Dienekes' Anthropology Blog: Grandmothers' longevity negatively affects daughters' fertility
「おばあちゃん仮説」では祖母が孫の成長を助ける効果を予想する
「母仮説」では、母親自身がすでに生んだ子の育児に専念できる効果を予測する
データは、祖母仮説の普遍性に疑義を示し、母仮説を支持する強い根拠を提供する
長寿は肯定的に女性の生殖力に影響を及ぼすが、それは彼女の娘の生殖力には否定的に影響を及ぼす
このため、長寿の遺伝率は予想外に高い。
すまん、うまく訳せない。
つまり、この10年一世を風靡してきた「おばあさん理論」は根拠が薄いってことか?
でもって長寿遺伝子が増えた社会では必然的に少子化する、とか?
へぇボタン:へぇ〜
と押してみるもよし情報庫: おばあちゃんの孫育て仮説 進化医学

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2007/08 The Royal Society 





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