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2004.04.28

バイオ屋と人類学屋の魔の壁

で、 「環境人類学を学ぶ人のために」をふまえた上で以下。

伝統的小規模農家と遺伝子組み換え作物問題
 彼らの声をあらわにし有効な意志決定を生かすには
 2001年に巻き起こった”トウモロコシ・スキャンダル” ほか
2004/04  Anthropology News Farmers' Rights and Genetically Engineered Crop Varieties

 こういう民衆心理や異分野の意見を、バイオ屋さんたちは往々にして「彼らが無知だから」という簡単な偏見で処理していたりする。
 偏見だぞ、偏見。わかってるのかな。

遺伝子組換えに関する安全性と展望に関する情報提供
 〜愛媛大学農学部応用生命化学 分子細胞生物学研究室
あなたはリスクゼロが可能だという勘違いをしてはいないか
 リスクの付加と交換:現代の高度技術化社会においては、リスク管理は総合的

  ↑
 これついこないだ某所でバイオインフォマティクス系の人が「科学的に冷静で良いサイトだ」みたいに紹介していたので覗いてみたが、その「科学的」には心理学や文化人類学は含まれてはいないようだ。
 結局「分子細胞生物学研究室」という場にいる人間からの視点、バイオインフォマティクス従事者どうしの内輪ウケじゃん。

GMO(遺伝子組み換え生物)に対する一般市民の認知に関する10の神話

 偏見こちこちの某バイオ屋さんに↑を紹介しても、頭の中が何がどうなっているのかこの神話の意味を全く理解してもらえなかったことがあったなぁ。それほどまでに「社会的なこと」はあなたには理解しにくいものなのですか。
 もともと社会的なものごとの思考処理が苦手だから、社会関係に関わらないような職場としてバイオ研究を選んだ、そういう人はバイオ推進側には少なくないのであった

 バイオ開発側の人間はとかく「民衆は科学を知らない」とおっしゃることが多い。
 「自分は何を知らないか」ということを棚上げにして「民衆は科学を知らない」と見下ろすがごとくうそぶきなさることが多い。
 環境リスクとか云々したいのであれば 「環境人類学を学ぶ人のために」でもまず読んでくれ。文化人心の研究を軽んじつつ環境生態系に関わりのあるバイオインフォマティクス系の人あたりに欠落しがちな種類の知識、それには何があるかを見ておいてくれ。
 物事を単純に突き詰めて考えるのが好きだからバイオに進んだという御仁が多いようだが、バイオインフォマティクスのような単純化された様式ばかりを見ていては、複雑な問題に対してろくなことが言えなくなるぞ。
 民衆に「知れ」と言う前に、 自分が何を知らないかということを知れ。
  サピア=ウォーフ仮説をバイオ従事者の狭視野をあらわす呪にして投げかけちまえ。


 でもってさぁ。
 悪いのはバイオ屋さんたちだけじゃないんだよな。

 人類学屋さんも悪い。
 内輪向け発信ばかりしている。
 渉外ができてない。
 発信の手法がすこぶる下手。これ日本だけ?
  海外では ああ、そんなえらいことやってるんだね、と位置役割が見えることがけっこうあるんだけど、日本の人類学はいったいどこでなにやってんのさ。ちょい愚痴るよ。

  「バカの壁」 に書いた「DNAという言葉をしらっとわけわかんない用法で使う」人類学屋さん、私が科学における分野間の壁&素人蔑視を表現するのにアナロジーとしてオリエンタリズムという言葉を用いていたら「そういう使い方をしてはいかん」と言ってきてくれたり。なんやねんそりゃ! 彼らの用いる言葉遊びの規範がわからん上、そんなことやってたらそれこそバイオ屋さんと話通じないでしょうが。
 某人類学屋さんに「先住民権利に関してウェブ上の反論材料に使いたいので関連論考を記したものはありますか?」と尋ねると、りっぱなウェブサイトをお持ちなのに専門家しか入手できないようなオフライン文献を紹介されたこともある。今必要なものをウェブに置かんできょうびどうすんのさ。
 

 
 ある人類学屋さんは「生命倫理関係の人たちは文化人類学や民衆伝統をわかってない」とこぼしつつ、科学史の人たちのほうがうまがあうからと「今策定されつつある倫理規範」の現場にきびすを返しているように見えた。

 がんばってよ。表に見えてよ。どこで何やってんのよ。

 

 この一文の表題は
  「バイオ屋と人類学屋の魔の壁」
としてあるけど、元は
  「バイオ屋と人類学屋の間の壁」
と記すつもりが変換ミスが面白かったのでそのままにしてあるだけでございます。

情報庫: 科学と社会   遺伝子組み換え問題   文化人類学   医療人類学


※ ↓この本はオススメ。感覚がしごくまっとうっぽい。
   著者はキャッサバ育種研究の第一人者@神戸大学農学部教授

cover
「“自殺する種子”— 遺伝資源は誰のもの?」
 河野和男著 新思索社 2001年
 
2002/10の感想:
  広い視野での状況把握、現場の人間ならではの問題開示、
  現実的なバランス感覚が小気味よい。
  マトモな人はここまでちゃんとマトモなんだとホッとした。
  現場研究者にも市民運動系にもオススメ。
  (…こんな装丁&タイトルでいいのか?損してないか?)


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コメント

「~の間の壁」と言う時の「間」は「ま」ではなく「あいだ」と読みます。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%A0&dtype=0&stype=1&dname=0ss
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%A0%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%81%B9&ei=UTF-8&fr=sfp

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E9%96%93&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=1&index=17982017183400
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%81%BE%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%81%B9&ei=UTF-8&fr=sfp&x=wrt

投稿 X | 2007.09.28 14:34

3年前のエントリに対してあさって方向のツツキをご苦労さん。
「間」をキーボードで打ち込むときにいちいち「あいだ」と入力しませんよ。「ま」ですむ。
しゃべるときは「あいだ」です。ky

投稿 あまさき | 2007.09.28 19:33

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