環境正義をめぐる闘争 米国先住民族と核廃棄物
故郷の隣がいきなり産業廃棄物の捨て場に!という難局に陥れられた、存在と権利を無視された人々の、苦渋の選択。
「米国先住民族と核廃棄物
環境正義をめぐる闘争」
石山徳子著
明石書店 2004/02
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ことは簡単な話ではない。
簡単な話であればとうに片は付いているわな。世の中簡単ではない問題ばかりが凝り残って…
存在を無視され、意見も問われず情報も与えられず理解の外に置かれた人々。
そしてこの複雑な問題を塗り隠す浅薄な単純化、ステレオタイプ、偏見、そして焦点を歪ませる、不当な力関係。
利益や損害を”平等に分配”して終わる話ではない。
環境正義運動:Environmental Justice=環境保護と社会正義の理念を統合し、社会弱者といえる貧困層やマイノリティの生活環境の改善に焦点をあてた市民運動(p.17)
コミュニティとして生き残るために短期的視野でくださざるをえなかった決断が、長期的に見ればコミュニティの息の根を止めてしまう現実。
目指すべきは意志決定の段階に関わる発言力の再分配:参加型民主主義の実現。
参照> ★宝の持ち腐れを活用してやるのだという不遜きわまりない視点
参加型民主主義の実現に関連する記事:
伝統的小規模農家と遺伝子組み換え作物問題
彼らの声をあらわにし有効な意志決定を生かすには
2001年に巻き起こった”トウモロコシ・スキャンダル” ほか
2004/04 ★ Farmers' Rights and Genetically Engineered Crop Varieties Anthropology News

さんざ核実験で荒らされたネバダ州ヤッカ山は地元インディアンの聖地。その聖地はさらに核廃棄物貯蔵地として外部の人間に利用される。踏みにじられている条約とショショーニら地元民の尊厳。
核のゴミ受け入れ、カジノ導入、リゾート開発など、さまざまな企画と交渉と取引に生き残りを賭けるメスカレロアパッチ。
ウソ偽りまで騙られて原子力発電所の強行建設に見舞われたプレイリーアイランドインディアンたち。建設計画上彼らの存在は全く無視されていた上、建設の恩恵は白人居住者にのみ下り、隣接して居住せざるを得ない彼らには何ももたらされない。プレイリーアイランドインディアンはその後核廃棄物受け入れ計画に参加し、トロイの木馬よろしくその計画が好ましいものではないことを立証することに成功する。と同時に核廃棄物受け入れによる利潤を期待していた白人居住者との対立も深刻化する。
わずか120人のコミュニティ、ユタ州スカルバレイのゴシュートインディアン。彼らの部族議会は核廃棄物貯蔵地受け入れの英断を下すが、その受け入れ根拠ははたから見れば核推進派の美辞麗句まるのみ状態。小さなコミュニティの中で反対派との軋轢も絶えない。受け入れのために交わした契約は、結果的に彼らの異議申し立ての権利をすべて奪ってしまっている。あまりに不平等な立場に陥る結果になった”自発的な決断”。
無力で無垢な純血の部族・対・悪の核産業や政治 という安直なステレオタイプによる障害。
”大地と強いつながりを持つ絶対的な環境保護者”として先住民族を描くのも一種の偏見。
それらのごとき偏見が、さまざまな経緯さまざまな主張を抱えるそれぞれの部族の問題を、十把一絡げに安直化し不適切な対応を招いてしまう。
「私の近くに作らないで」という段階を越えて、目指すべきは
「誰の近くにも作らなくて済む」
こと。そも、民衆に忌避されるような施設を作らずに済むシステム・産業・技術・施策をめざすべきところ。
NIMBY: Not In My Backyard(わたしの裏庭にはつくらないで運動)
p.88
それに対して地理学者マイケル・ハイマンが提唱する
NIABY: Not In Anybody's Backyard(誰の裏庭にも作らずに済ませよう)
p.265
ユタ州の小さな先住民居留地から見えてくる、米国の歴史や政治経済、人種差別の構造はきわめて残酷なものである。

論文に加筆して形をなした関係か、取材上当事者へのインタビューを避けざるを得なかった関係か、おしむらく当事者の生の語りはほとんど採録されていない。
それでも、各ネイティブインディアンの各コミュニティが、産業廃棄物企業とどう関われず、交渉し、決断し、陥ったか、その過程分析は一読に値する。
●追記
貧民や少数民族に押し付けられる、危険な廃棄物施設
2007/02 EurekAlert Study verifies more hazardous waste facilities located in minority areas
へぇボタン:へぇ〜
と押してみるもよし情報庫: 文化人類学
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» NIMBYシンドローム [鯵!]
聞き慣れない言葉であろうと思う。NIMBYとは「Not In My Back Yard」の略で、「私の裏庭はイヤよ」ということである。例えば、ゴミ捨て場、産廃... [続きを読む]
受信: 2004.05.22 19:26







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