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2004.06.08

水辺で起きた大進化やら外適応やら

 実にピチピチと生きのいい科学ライター、→カール・ジンマーの旧著。

cover
「水辺で起きた大進化」

 カール・ジンマー著
 早川書房 2000/01
 (原書:1998/At The Water's Edge) 
 [ Amazon ] [bk1]

●右画
 生物の形と、それを左右するDNA&進化の関係が屋台骨。
 と書くと、やたらとっつきにくそうになるが、語りは面白いし、ややコアな内容を一般読者も入れるようなモチーフから掘り下げ、精力的に披露している。

 この人、ブログ見てても感じるけれど、家族が大好きで、取材も大好きで、着眼点はいいし、機転は利くし、今興味あることを惜しげもなくぽんぽん書くわで、アンテナのイキがすごくいい感じ。
 今年出た最新作は 「脳の発見」がテーマ。科学史にも切り込む。

 旧作には宿主を操る寄生虫を目玉にした「パラサイト・レックス」もある。
 ただ、この「パラサイト・レックス」に関しては…。着眼点もいいし、語りも取材もグーで読者はどんどん引き込まれるはずなのに、翻訳文がひどく読みづらくて投げ出したくなるという悲惨な一品になっている。その悪訳のせいか、ただいまこちらの邦訳は絶版状態。残念。

●右画
閑話休題。
 形態の進化と遺伝子の変化がいかに密接に関わっているか、豊富な実例と研究エピソード、さまざまな大進化の例から推論検証を展開開陳。
 まずのツカミは四肢や体躯を左右するホックス遺伝子のご紹介。チューリングのパターンと四肢発現の関係の可能性。
 そして使えるものならナンデモアリの「外適応」進化のご紹介。ん? ウェブを検索してみたら「外適応」でヒットするページがやけに少ないような気が…。どういうことだ?普及してないのか普及する必要がない語なのか別な訳語があるのか…?

●水中から陸上への進化はどんなもの
 実は イザリウオとか アカグツとか、海底をヨチヨチあんよする魚があれめっちゃかわいくて好きなんだけれど(げ、静止画だと見た目怖いじゃん(;_;)ウェブ上に動画があればいいのに)、生物が水中から陸上へ進化するにあたって、最初の足は陸を歩くためのものではなく、水の中を歩くためのものだったという話の中で、この魚の話が直にかんでてちょい嬉しい。

挿画

●陸上から水中への進化はどんなもの
 四つ足動物が水中生活をするようになるにあたって、泳ぎ方はどう進化するかの論展開が面白い。
 しっぽが大きい種が水中生活に適応していくと、カワウソ型の泳法に適するように動きと形状が変化し、しいてはイルカ〜クジラ型の姿態に 収斂(しゅうれん)していく。
 しっぽが小さい種では、泳法や姿態がカモノハシ〜オットセイ型に必然的に収斂していくと。

 ほか、イルカの研究紹介もリキ入っている。代謝率や泳法の考察、メロン体の起源に知能研究(集団共有自意識の可能性にも言及)。

 遺伝子や物理法則の必然性というルールの中で起きるナンデモアリの外適応な進化。この世の自然の妙と興。
 「万華鏡」というアナロジーも思いつくね。ナンデモアリの曼陀羅模様は鏡の厳密な反射というルールの範囲内でのみ生じうる。

 今般の進化研究の粋を楽しみたい人には欠かせない一冊に仕上がっている。


へぇボタン:へぇ〜 と押してみるもよし

情報庫: 進化研究   動物行動



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コメント

外適応というのは、故・S.J.グールドらが提案した(本書p.60)比較的新しい用語のせいか、いまいち定着してないようです。
現在でも「前適応」のほうが使われる場合が多いようです。
提唱者が新しい含意を付け加えていたり、
使用分脈が微妙に異なっていたりするせいもあるのではないかと。
あまりよく知らないのですが一応コメントしてみました。
それでは。

投稿 norahigule | 2004.08.14 00:38

「前適応」情報ありがとうございます。
でも、なんか「前適応」も「外適応」も
グーグル力(ぐーぐるりょく=グーグルヒット数)は同じくらい、
150件足らずですね〜。 ビミョ。(^_^;)

投稿 雨崎良未 | 2004.08.17 11:52

あ、自分もそれ思ったんですが(笑)、
英語で検索するとpreadaptationの方が俄然多いです。
でもそれでも三千件とかでした。
かなり重要かつ定着してる概念の筈ですが…
確かにビミョ。

投稿 norahigule | 2004.08.18 06:07

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