神と同性愛の遺伝子@タイム誌
● タイム誌の表紙が「神の遺伝子」でござい。
ディーン・ヘイマーの新刊「The God Gene」がタイム誌的にはツボだったらしい。
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The God Gene
: How Faith Is Hardwired into Our Genes
Dean Hamer (著)
ハードカバー (2003/09)
一神教圏的には見過ごせぬ話題なんでしょうか。
カール・ジンマーはすかさずミームを前に出して講釈。
2004/10 The Loom: The God Gene Meme
「The God Gene」自体は、ジンマー的にはそこまでして注目するべき一品か?だったらしいけど。
※ 元気な科学ジャーナリストカール・ジンマー氏の2001年旧著 「Evolution: The Triumph of an Idea」 の邦訳が来月、光文社から出るらしい。
渡辺政隆訳 『「進化」大全』
一瞬、光文社と聞いて、同じ光文社刊のジンマーの「パラサイト・レックス」がひどい訳だったのを思い出してしまったけど、今度の本は、出版社は同じでも翻訳者が違う、しかも手練れの人だ、ひと安心。

以下、ディーン・ヘイマー関係(ディーン・ハマーと訳されることもある)
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ディーン・ヘイマーの旧著邦訳は一冊しかないのかな:
「遺伝子があなたをそうさせる 喫煙からダイエットまで」
ディーン・ヘイマー/ピーター・コープランド著
吉田利子訳 草思社
2002年(原書1998)
行動遺伝、性向遺伝を中心に、不安の進化など進化心理学も多々織り交ぜて
青土社 月刊『現代思想』2000/09 特集:健康とは何か
市野川容孝+松原洋子・対談「病と健康のテクノロジー」
松原:
『ネイチャー・ジェネティクス』という分子遺伝学の専門誌に掲載された「幸福の遺伝」と題する解説記事で、分子遺伝学者のヘイマーはリケンらの研究をとりあげ、「幸福感」には神経伝達物質のドーパミンやセロトニンの代謝に関わる遺伝子が関係しているのではないかと推定しました。
「ゲノムを支配する者は誰か クレイグ・ベンターとヒトゲノム解読競争」
ケヴィン・デイヴィーズ著
日本経済新聞社
2001年(2001/Cracking the Genome)
p.327
国立がん研究所の遺伝学者ディーン・ハマーは、「今あなたがどのように感じているかには、遺伝と環境の両方が関わっているが、今後の一〇年間、どんな風に感じて生きるかは80%遺伝子によって決まっている」と言う。
行動遺伝や性格遺伝について語ることも多いが、彼が沙汰されるのはもっぱら同性愛の遺伝についての場面。
「あなたがキレる瞬間 ヒトはなぜ暴力をふるうのか」 ニコラス・レグシュ著 荒木文枝訳 柏書房 1997(1997/The Breaking Point)
p.48
分子生物学者、ディーン・ヘイマー率いるグループは、ゲイの兄弟四十組のうち三十三組について、男性が必ず母親から受け継ぐX染色体の端に、遺伝的に似通った部分があることを突きとめた。
「脳と心の地形図:思考・感情・意識の深淵に向かって」
リタ・カーター著
原書房 1999
(Mapping The Mind/Rita Carter/1998)
p.104
ワシントンDCにある国立衛生研究所で分子生物学を研究するディーン・ヘイマーは、男性の性的思考に影響を与える特定の遺伝子--母親経由で伝えられる--があると発表した。
「クィア・サイエンス 同性愛をめぐる科学言説の変遷」
サイモン・ルベイ著
勁草書房
2002/03(原書1996)
p.170
少なくとも二人のゲイの兄弟がいる家族の場合、九九パーセント以上の信頼性をもって、X染色体のXq28領域に男性の性的指向に影響を与える遺伝子が存在することを、ヘイマーの結果は示している。
「時間・愛・記憶の遺伝子を求めて 生物学者シーモア・ベンザーの軌跡」
ジョナサン・ワイナー著
垂水雄二訳 早川書房
2001/12(1999/Time, Love, Memory)
p.345
遺伝子、行動、同性愛は、きわめて物議をかもしやすいテーマであるために、ハマーの話は、全国的なセンセーションを引き起こした。
p.347
「ゲイ遺伝」話は、ジャーナリズムおよび科学界の両方において激しい論争を引き起こした。
《タイム》誌は、「ゲイ遺伝子を求めて」という見出しで、そのまわりを鎖のように連なった雄、ハエの輪が飾っていた。
「ゲイ遺伝子」を表紙にしたことがあるタイム誌。
行動遺伝に話題性があると見るのか。
Hamer,D.H.,Hu,S.,Magnuson,V.L.,Hu,N.,and Pattatucci,AM.L.(1993)A linkage between DNA markers on the X−chromosome and male sexual orientation.Science 261:321−337.
当時は、ヘイマーの出した結果は他の研究者によって追試しきれなかったし、ヘイマー自身も、特定の家系において、かくなる結果が出ただけであって、それを広く敷衍させるのは間違いだろうと謙虚に述べていた。
「ゲノムが語る23の物語」
マット・リドレー著 中村桂子/斉藤隆央訳
紀伊国屋書店 2000(1999/Genome)
p.155
マイケル・ベイリーは近年、同性愛者の家系についての調査から、母系寄りの傾向は見出せなかったと言っている。Xq28とセクシュアリティとの関連性を確認した研究者は、まだハマーのほかにはいない。現時点では、その関連性はハマーが調査した家族だけのもののようで、彼自身も、問題の遺伝子が確実になるまでは普遍的な事実と見なすのは間違いだと警告している。
そしてつい先日、「同性愛の母系遺伝」説を補強支持する論文が発表された。
2004/10 ★男性同性愛者、母系通じて遺伝 イタリアのパドゥア大学 日本語記事 中央日報@韓国 2004/10 ★ Mother's genetics could influence sexual orientation news@nature.com 2004/10 ★How homosexuality is 'inherited' BBC News 2004/10 ★Survival of genetic homosexual traits explained New Scientist |
今回タイム誌の表紙がヘイマーの「神の遺伝子」になったのは、そのからみもあるのだろう。
さて母系。
上で沙汰されているのは、すべて「ヒトオスに同性愛行動をもたらす」とみなされる遺伝子。
ヒトメスの同性愛ではない。
そして、それが、母系。
メスで繁殖成功率を上げる遺伝子は、オスでは逆に作用しうる。そういう指摘はかねてより。
「ドクター・タチアナの男と女の生物学講座 セックスが生物を進化させた」
オリヴィア・ジャドソン著
光文社 2004/02(原書2002)
p.204
成虫になった後は、雄に成功をもたらす遺伝子セットと、雌に成功をもたらす遺伝子セットとでは異なっていることが判明しました。それどころか、一方の性にとって有益な遺伝子は、もう一方の性にとっては不利益に働くのです。しかも、前者の利益が大きいほど、後者が被る不利益も大きくなるのです。
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