犯罪にまつわるナラティブとナルシズム
![]() 「こころのブレーキがきかない 10代が考える「少年犯罪」」 藤井誠二/NHK「少年犯罪」プロジェクト編著; 日本放送出版協会 2004/07 [ Amazon ] [bk1] |
同名番組(2003/10)に併設された掲示板への”少年少女らの”書き込みを収録し概観を付記した、という…ネット耽溺者には「べつにぃ…」みたいな本。
ネットなんざで時間をつぶすようなヒマのない人、お子たちに縁の無い人、お子たちを知ったかぶっている人には、これはいい本かもしれないが。
ネット慣れていないPTA向け?
収録された書き込みには性別と年齢が併記されている。この「年齢・性別」はそこらの掲示板では確認しにくい部分なので、「おおっ!小学生がこんなこと書くのか!」などと驚ける人もいるかもしれない反面、「ほんとうにここに記されている性別年齢は正確なのか?」という疑問が普通に頭をはなれない人もいるだろう。
でもいちいち発言にくっつけられているジェンダーマークが、存在&デザインともにかなりキモイ
面白かったのはジェンダーに関する項目でお子さんがなにやらさも当たり前そうに進化心理学的見解を持ち出していたこと。ネットを介したコピーとエコーのむやみな増殖の中、進化心理学的見地がそれと意識されずにフツーに初期値デフォルトとして流通してたりするわけだが、そういえば昔、 亀田達也・村田光二著「複雑さに挑む社会心理学」有斐閣 を読んだ学徒が「どの部分が進化心理学なのかわからない」とも言っていたっけ。
このあたり、進化親和的な日本と創造論対立だらけの米国あたりとでは、かなり進化論的物言いに対する感受性が違ってたりするのかな。
どっちにしろ進化心理学を援用しようが何しようがどんなに賢そうに新しそうに情報意見を言い立てても、世の人間を2種類だけに分ける行為への自省自戒が伴わない物言いであれば、それは過去延々繰り返されてきた蒙昧の陳腐なリピートに過ぎなかったりしているわけだが。
ワニのNEW新書![]() 「なぜ「少年」は犯罪に走ったのか」 碓井真史著 ベストセラーズ 2000/11 |
申し訳ないがつまらなかった。
4年経つと古くてダメなのかな。
それとも、現場感覚のない「であったらいいだろうに」な願望と想像と効くか効かぬか定かではないアドバイスばかり書き連ねているからか。
![]() 「精神障害者の事件と犯罪」 滝沢武久著 中央法規出版 2003/08 [ Amazon ] [bk1] |
この本はかなりひっかかった。
妙にトバした書き方をしている。
著者の個人的一回性の経験が思考判断基準の多くを占めている。
医療への不信が先に立っている。
現場の当事者ぶっているけれど、何か全然現場の感覚とはほど遠い市井からの一方的な物言いばかりになっている。
で、あとがきの一行目に「本書は、60歳を迎えた私の遺言である。」とあった。
なんだ、そうか。それなら一般啓蒙書の体裁など選ばずに、最初から「個人史」として記してくれれば良かったのに、そのほうが読みやすくなったろう。
家族に心の病を持つ者がいた、そこから精神医療制度の問題にコミットするようになったらしいが、残念なことに、この著者は、制度の問題には目を向けるが、ナラティブは見ていない。理解してない。
心の病を抱えた本人の心の中を理解しようとはしていない。限られた条件の中でなぜこのような状況が生まれるのかかくあらざるをえなかったのか、施療側個々の心の動きや論理を見ていない。浅い。
一つの立場だけ、自分の立場、心の病を持つものを身内に抱えた、その市井の立場から、各方面に対して不平不満をあげつらう。それら不平不満は当を得てはいるのだろう、だがどうも空回りの感が否めない。バランスがとれていない。
…だから、個人史として、個人の見解として、記してくれたほうが読み手には楽だったと思う。
p.81〜に挙がっている不当さを感じる強制入院の例の数々は見ていてけっこうコワイゾ。
●少し薬を飲み忘れたら強制入院させられ、住んでいたアパートも引き払うハメになり退院できたとしても住居のアテがなくなってしまった。
●本当にイジメが行われているのに、妄想や幻聴呼ばわりされて強制入院させられた。
●心の病を持つ夫の言い分を鵜呑みにして健常者の妻を強制入院させてしまったケース。
●終電に乗り遅れ、警察に保護され黙秘していたら精神病院に入院処置。
… 人格障害 や 精神障害の根拠 を思い合わせるとなんと微妙かつ深刻な話か。
精神障害の根拠といえば。
p.168あたりからサズの見解がならべてある。
サズといえばこんな本が出てた。
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