少年の世界観、犯罪、ゲーム、県民性
あまり時事ネタには巻き込まれたくはないんで … 世間が静まり冷めているタイミングに … と待っていてもなんだかんだ、いつ書いても同じなのかなと思いつつ。
●まれな事件を騒ぎすぎ。
しばらく事件がなかったから、ああ、ちゃんと模倣犯が防げてるんだな、よく今までこれだけの数で済んでるな、とか思ってみても、なんか世間じゃものすごい
なさっているようで。
世間的には逆な印象なんだろうか。
毎日起きる路上の車両殺人より、半年に一回くらいの変質殺人者のほうが怖いのはなぜ?
犯人が持つ価値観が異質で浮いているから?
侵してはならない神聖な場所が穢(けが)されたから?
まれな事件でも「またあるかも」と思ってしまう私たち 不安の進化心理学
2001/11 Washingtonpost.com You Can't Help It: Our Impulse to Connect the Dots Is Pre-Wired
まあ、用心するにこしたことはないだろうので、警備業界もうるおうし、止めはしませんけど。
●集団生活上、人間の心理は役割モデルに強く影響されるようになっているらしい。
有力なモデルに従えば、そのコースで安泰になれる可能性が大、みたいな。
〜〜の場合には**すればよい。
○○のときには△△するのが適切だ。

そのモデルは時代によって変遷してきた。
昔のように身近なリアル人物が現実的な役割モデルを示していればいいのだけれど、父さん母さん近隣の大人たちが適切な社会モデルを示していればいいのだけれど、いまどきの若人は単純に目立つキャッチーな人物を役割モデルとして選びやすい。
父さん母さん近隣の大人たちは、やっぱメディア上のスターやキャラには負けちゃうし。
親よりも有名人のほうが、子供に与える影響力は大
2004/03 ▲日本語記事 JAPAN JOURNALS LTD.
2004/03 New Scientist Celebrity 'friends' key in teen development
スターの世界しか知らないと、選択肢それでなきゃダメと思い込むことがある。
ゲームの世界しか知らないと、ゲーム業界以外想像できなくなったりする。
いろいろな役割モデルを知っていれば、現実世界に対して臨機応変に実際的な対応もとれるだろうに、あいにく実社会で使えない役割モデルに拘泥してしまっていると、簡単に追いつめられて逝ってヨシになりやすかったりする。
あまりにファンタジーなモデルに憧れると、社会的にまずい結果が出たりもする。
スーパーマンのファンは人を助けなくなる
超人と比べてしまうとおのれが役立たずに思えてくる効果
2004/11 New Scientist Superman too super a role model
異文化や、異なる価値観の存在に対する察知や礼儀が欠落して、よけい不適応起こしてみたり。
人間それぞれ、どのくらい異なる世界観を形成しうるのか。
結果、その世界観が本人の可能性を閉ざしてしまったら。
メディアのせいだけとも言いきれない。
父さん、母さん、ご近所さん、若人に役割モデルを示せてますか?
若人に自己成就の物語を誇って語り聞かせていますか?
●新しい可能性が開けそうもない場合、人間は追いつめられる。
イベントがない平和な状況が続くと、疎外感は増強されやすい。
他の人々からの疎外感が薄まって、一体感が醸成(じょうせい)されれば、状況打開のための「儀式」の必要性も発生頻度も減るんだが。
「祭は死を遠ざける」
●状況が逼塞(ひっそく)して、どう打開すればわからないとき、人間は「儀式(何らかのシンボル性を帯びた行動)」を敢えて行って、状況を打開しようとすることがある。
それは、はたから見て論理的にスジが通ってようがいまいが、かまわなかったりする。
だって、Aの世界でうまく行かないからこそ、Bの世界の論理を適用して世界を変えようとするわけだから。
●社会の中で変な場所に追いこめられたら、人間はそれを補填する役割をはたそうとすることがある。
今のままではどうあがいても社会の落伍者。
だとしたら、特殊な何かをなして、特殊な位置を獲得すれば、落伍者である汚名を撤回でき新しい道が開けるのではないか、別のチャンネルに移動できるのではないか、そういう心理が働くことがある。
「特殊な出自と特殊な役割」
●人間は提示された手段の中から行動を選ぶ。
手段が提示されていると、それが選択肢に加わる。
メディアが状況の打開になりそうに見える形で「思い切った手段」を提供していれば、それが一定数存在する「せっぱつまった個人」に選ばれるのは自然な成り行き。
流行の何かから手段が選ばれることが多いように見えるのは自然な成り行き。
増えてはいないが、起きる場合は、今どきっぽい内容を含むことになる:その今どきっぽさで過剰に驚かれるというパターンの繰り返し
「メディア・バイオレンスと犯罪」
●「これをやると状況が変わるんじゃないか」そう思えたら、致死的な手段であっても、自分を救うためにやってしまう、それが人間。
逆に、「これをやっても状況は変わらない」と伝えられていれば、そんな手段は実行されない。当然のこと。
例えば自殺。
自殺が救いの意味を帯びている国は自殺率が高い。
自殺が不名誉であり自殺者は死後ボロクソにされる文化圏では、自殺はごく少ない。
「自殺は伝染する」
●普通、人間は殺人を犯すことにものすごい心理的抵抗を示す。
が、ひごろ人間っぽいモノを殺し慣れていると、その心理的抵抗が少なくなる。
その慣れの効果は第二次大戦以降の軍教育が実証している。
「人間っぽいモノを殺せば未来への道が開ける」ような経験を重ねれば、エリート殺人兵も夢ではない。
「「人殺し」の行動訓練」
●「人間っぽいモノを殺すと次への道が開ける」そういう訓練。
ザコを殺すことが目的達成につながる世界観。
そんな何かをすれば自分は救われるのではないか。
中ボスを倒さないと自分は救われないのではないか。
「ゲームはテレビやマンガと同じ?」
取調官は、自分が理解できる範囲でしか犯人の自供を聴取できない。
え〜と、こちとらありがたくも警察さまに逮捕された経験があるんですが、こっちが黙っていると、警官さんも刑事さんも「〜〜だからやったのか」「〜〜だったんだろ」と先に勝手に話をこさえてくださるんですね。んでもって、こっちは相手さんが並べてくれるいろいろな話を聞きながら「ああ、これならいいかな」と選んで「そうです」と答えるとさらにそこから相手は「そうなのか、それじゃあ〜〜はこうなのか」と話を彼らなりに型どおりな補強をしていってくれる。実状とは違っていても、「理解できる範囲の話」がこしらえられていく。
例えば「いじめがあったからなのか?」「うらみがあったのか?」「学校が嫌いだったのか?」。
ただ単に「過去のシンボルを変えたら何か変わるかな」と思っただけであったとしても。

●前に、「ひるむかし」のことについて記した。
「昼むかし:思春期と物語の刷り込み」
ムカシバナシは、昼に語ってはならない。世界観の伝承は昼やっちゃダメ。
心も世間も鎮(しず)まる夜。
夜にムカシバナシを語る。夜は世界観の刷り込みに良い時間帯だった。
世界観の伝承は大事な行為だった。
今はそうでもないだろうけど、古代では伝承し損なうと即絶滅だったりしたろうし。
●イニシエーション(大人の仲間入り)の儀式は思春期に行われる。
元服や各国、各時代の成人式。
20才じゃちと遅すぎる。
だいたい13〜17才くらいじゃないかな。
その年頃に、試練(訓練)を与え、世界観を確立し、社会の一員として役割を持ち社会関係に組み込まれる、そのタイミングが、思春期たる年齢が、けっこう重要だった気配。
「思春期に組み変わる脳」
ひきこもり、社交下手… コミュニケーションのサインが読めてない
15才が社交スキル獲得の要の時期 David Baldwin
2005/01 BBC News Bid to find key to social phobia
●このイニシエーションは特に男で重要さを見せる。
女は生殖能力(初潮)を言祝がれるが、男は役割能力と世界観を試される。
男はもとより何かのアイデンティティに固執しやすい性向を持っている。
男女で違う男女平等への道
男は男女平等な家庭で育ったほうがいい
女は成長してからの教育でも充分だけど、男は家父長な家で育ったらまず望み薄
2002/05 EurekAlert Paths to egalitarian gender attitudes differ
「男は死ななきゃ治らない場合」
一度刷り込まれた世界観や価値観は、特に男のほうで融通が利かないシロモノになりやすいらしい。
で、このたび新たに妙に気にかかったのが
●県民性。
こないだ福島人について書いたときにひっかかったんだが。
「福島現象と戊辰の呪い」
なんでこんなに周囲の価値観や世界観にぎっちり染まってしまうのかと。
お国柄って何。
私は関西生まれ。思春期だけ神奈川。あとはヨソで暮らして今北海道。
で、 「県民性ワールド」 というサイトに「ウラ県人占い」ってのがあって、やってみたら思いっきし「神奈川人」と言われてしまった。
これは 何だ? 俺だけ?
ただの偶然?
それともやっぱ、思春期に触れる行動基準や価値判断は人間のアタマに何かぐっさり刻み込まれるんだろうか。
思春期に接触した社会環境は、世界観は、延々人生の上に影落としてしまうんだろうか。
いろいろ並べた。
これらから何が見えるか。
見えるものは人それぞれ?
この並べ方自体、個人(神奈川県人???)の世界観が集めた恣意的なしろものなのだけれど。
ヒトの世界観形成は研究としては検証しづらいものだろうか。
今の思春期はどんな世界観に晒されているのか。
(うちはゲーム製作業関与者)
最後にもっかい、最初の項目をリピート。
●まれな事件を騒ぎすぎ。
毎日起きる交通事故殺人より、半年に一回くらいの変質殺人者のほうが怖いのはなぜ?
まれな事件でも「またあるかも」と思ってしまう私たち 不安の進化心理学
2001/11 ワシントン・ポスト You Can't Help It: Our Impulse to Connect the Dots Is Pre-Wired
2007/11『 犯罪不安社会になる百人村の世界 』
なお、このようにしなくてもいい過剰警戒をさせてしまう不安の進化心理学については 「防衛庁経由・うつ病救済行き」でとりあげた書籍がひとしきり参考になると思う。
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