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2005.02.22

「人殺し」の行動訓練

 人殺しの任務をおった者の、心理反応。
 一人で殺すより、二人で殺す方が殺しやすい。
 ナイフで一人殺すより、ナパーム弾で大量に殺す方が抵抗感がない。
 事前にザコキャラを殺す訓練をしたほうが、ラクに人を殺せる。

戦争における「人殺し」の心理学「人殺し」の心理学
「戦争における「人殺し」の心理学」 ちくま学芸文庫  デーヴ・グロスマン著 筑摩書房 2004年

旧版 「「人殺し」の心理学」
 デーヴ・グロスマン著 1998年 原書房

洋書
 原書:戦争における殺人学習の心理的代償と社会
On Killing: The Psychological Cost of Learning to Kill in War and Society
 Dave Grossman
  ハードカバー (1995/08)   ペーパーバック(1996/11)


 ひとわたり、それなりにかつて話題になった本なのでAmazonでの書評なり 世間の感想なりそれなりに溜まっているようだし、あとちょぼちょぼと。

 この本の内容は10年前のもの。
 それでもいまだ十分にインパクトを保持している。
 それはおそらく、研究しづらい題材なので他にあまり類書がないからでもあるのだろう。
 人殺しをした人間から、直接その時の話を聞いたことはあるか。
 撃てと言われて抵抗なく殺人をできる人間の割合、その実際の数字はどのくらいか聞いたことはあるか。

 著者は軍関係の心理学者。
 殺人を命ぜられた兵の行動・心理・ダメージを古今の例から検証している。
 まず、人間は敵を目の前にしても、いや敵を目の前にしたほうが、人殺しができなくなる@戦場という例証から入る。
 人間は目の前の人間をやれと言われて殺せるか?
 ぜんぜんダメ。人間に向かって発砲できてない。
 同じ人間を殺すという行為にものすごい心理的抵抗を示して逃避しまくる。
   詳しいことは本書の中身や上掲の書評リンクにまかせるとして
 おしむらく、これが文化的に形成された性向なのか、生得的に回避してしまうのか、進化心理学的なチェックがなされてない。
 ただそういうデータが、現実があるのだと大前提として著者はバンと提示する。

 この本は去年文庫版が出ている。
 原題は「殺人について:戦争における殺人学習の心理的代償と社会」
 旧版は「「人殺し」の心理学」
 文庫版になって「戦争における「人殺し」の心理学」となった。
 今回私が弄んでいるのは旧版の「「人殺し」の心理学」。
 内容のメインは市井の殺人犯の心理ではなく、<戦争における殺人任務がどのような心理的影響を与えるか、効果的に殺人をさせる方策にはどのようなものがあるか>だから邦訳的には旧版より文庫版のタイトルが適切げ。
 で。
 ベトナムが、異常に兵員に過大な心理的ダメージを与えたその要因分析とか。
 殺人行為後に見られる兵士の心の中の変化とか。
 人殺しを忌避する善良な兵員さんたちに、りっぱな殺人者になってもらうにはどうすればよいかとか。
 脱感作(あらかじめ殺し慣れる)、憎悪の予防接種(感情訓練)、仲間意識の醸成と上位者からの直接命令、敵の非人間化…。
 善良な兵員さんたちの殺人達成率は、「第二次大戦以降に取り入れられた革命的な矯正法や訓練法」によって、めざましい改善を遂げる。
 訓練によって兵は敵をがんがん殺せるようになった。
   そんなこんなも詳しいことは本書の中身や上掲の書評リンクにまかせるとして
 著者は、その殺人達成率を向上させる訓練が、テレビゲームによく似ているのだと持っていく。

 銃撃訓練の標的を人型にする。
   ダミー人形の首をカッ切る。
     成功すれば良いお点がもらえる。   行動訓練。行動矯正。
人型のザコキャラを倒しまくる。
  ホームレスによく似たゾンビをぶっ殺す。
    中ボスを殺せば次のステージへの希望の道が開ける。  行動訓練。行動矯正。

 人間だと認識しうるモノを殺し続ける行為を積み重ねると、いかに
   同じ人間を殺すという行為にものすごい心理的抵抗
を持っていたとしても、
   特定の状況に置かれたら、なすべきこととして訓練の成果が自動的に表れる
ことがありえるのだと、強い危惧を述べ立てる。

 実際問題、どんなに射撃の腕がよい人間でも戦場に放り込まれたら、人間を殺せと言われたら、大半の人間が発砲も殺人もろくにできずボロボロだった実態がかつてあった。
 それが第二次大戦以降に編み出された行動訓練によって、人型を撃ち、敵をザコキャラ(非人間)扱いする、それを繰り返すことによって、平凡な兵士も優秀な殺人兵士にしたてあげることができ、殺人効率が極めて高まった、それが実証されているのだ
 彼の危惧はそこを土台にしている。

ネット 「〈子ども時代〉のためのアライアンス」
彼の講演は最もショッキングで、参加者皆に大きな衝撃を与えました。 彼は"On Killing"(「「人殺し」の心理学」原書房)そして、 Stop Teaching Our Kids to Kill(私たちの子どもに殺すことを教えるのを止めろ、邦訳は未出版)の2冊の本を書いており

表紙

 
   そんなこんなも詳しいことは、
   
   本書の中身を見ずして語ることなかれ


このエントリは別項の参考資料として作りました。

 しかしこの著者( Dave Grossman )、ルックスがピーウィさんかマックスヘッドルームみたいでなんかヘン(どこか人工的)。  戦場で顔面を負傷して形成したのか? 違ってたらゴメンね


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情報庫: 犯罪 メディアの影響 心理学



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コメント

警官の人種偏見解消にバーチャル訓練が効きます
2005/03 EurekAlert Training could remove racial bias from police reactions

まちがった判断で発砲してしまわないよう、
ヘイトクライムのような嫌悪人種への条件反射を、減らす訓練。
逆効果の訓練も可能でしょう。

投稿: 雨崎良未 | 2005.03.02 19:59

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『EP : end-point  科学に佇む心と体: 「人殺し」の行動訓練』を読んで http://am.tea-nifty.com/ep/2005/02/o... [続きを読む]

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