ヒューマン・ユニヴァーサルズ
地球上の人類が、共通に持つ性質とは何か。
当時の時点でわかっていることわかっていないことを、包括的に列挙してくれている。
「ヒューマン・ユニヴァーサルズ |
が。
こんなに内容が古い本だとは思わなかった。
原書は1991年ではないか。
邦訳出版は2002年。(原書出版から11年経てからの邦訳出版だとは…それに加えて出版から3年たってから押っ取り刀で読む私も私だが)
これだけ意欲的に既存の通念に挑戦しながら考察のタネ、実状データなどを列挙してくれているのに、10年以上たってから訳してくれても、…かなり使えない。

「**ではないだろうかと推察される」
「**はだと思われる」
「**という結果は得られていない」
当時ではそうであったことが挑発的かつわかりやすく整理指摘してある。
でも、当時はそうだったんだろうが、これら記述の中、10年以上たった今ではすでに別の結果が十分得られていたり、さらなる新しい説が受け入れられるようになっていたり、もはや時代遅れでこりゃ訂正しておいたほうがいいんじゃない?と思わせる記述や見解が少なくなくて。
今この本を、予備知識をあまり持たない入門者が読んだら、いやわりと知識がある人間であっても、つぎつぎ現れる「あれ?これそうだっけ?」な事態にけっこう混乱してしまうのではないだろうか。
原書出版からほどない頃に邦訳が出ていたのであれば、かなり使いでがある一品だったろうに、残念。
データ・論考は厚い。
ミード、マリノフスキー、エクマン、サピア=ウォーフ、チョムスキー、ギアツ、ボアズ、スペルベル、インセスト・タブー、進化心理学…
上で述べた混乱要因を差し引けば、”人類共通の性質”について基本的なところを押さえておくにとても重宝する一冊。
20世紀初頭から1990年までの長期間にわたる論説の変遷をまとめて扱っているので、いつ何が語られていたのかおりおり示される原典の年代に注意しながら読み進めたいところ。

ウォーフがビミョーに神秘主義に傾倒していたという指摘は面白い。
なんで面白いかというと、ミームの存在を信じ主張する スーザン・ブラックモア@臨死体験好きが微妙にかぶってくるから。
無いものを見出す。
見出されたそれは実体になるのか、それともやがては幻に戻るのか。
明らかに人面に見えても、それは木陰だったり岩の模様だったり。
明らかな実体に見えても、それは実体ではなく、それを実体に見せる脳という実体の性質が見せるおふざけかもしれないというどうどうめぐり。
世に見たいものを見てしまう私たち。
そして。
見えるものしか見えない私たち。
へぇボタン:へぇ〜
と押してみるもよし

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