鳥と恐竜、化石の中国マジック? 捏造と古生物学
今どき流行りの「羽毛恐竜」、そもそれは本当に羽毛か?
羽毛恐竜は中国産が多いが、どうして中国だ?
中国の古生物学ってかなりやばいらしい…???
![]() 「鳥の起源と進化」 アラン・フェドゥーシア著 平凡社 2004/07 [bk1] 原書:1996-1999 THE ORIGIN AND EVOLUTION OF BIRDS Alan Feduccia |
鳥の収斂進化の話も大変面白いけれど、この本で何より特筆すべきなのは「鳥が恐竜から進化したと決めつけるのはオカシイ」と鋭く指摘する著者の姿勢。
「鳥の起源と進化」 p.537
どこを見ても、無理なこじつけばかりだ。私は鳥類が恐竜と類縁関係がないと言っているのではない。共通の祖先を持っていたことは確かである。しかし、その祖先がいたのはずっと古い時代だったはずだ。この仮定が正しければ、鳥類と獣脚類の指の相違、呼吸法の違い、時代の問題、飛行の地上進化説など、様々な問題がすべて解消する。鳥類は恐竜から進化し、地上から飛び上がったと信じて欲しいと古生物学者に頼まれても、鳥類の起源については150年以上経った現在でもまだ謎の部分が多いので、そうはいかない。
世には「恐竜が進化して鳥になった」という見解がたくさん出回っている。
羽が生えた恐竜が見つかっただの、卵がこうだから恐竜は鳥っぽいぞだの。
恐竜の化石から卵、「鳥類の祖先説」を裏付け
2005/04 【日本語記事】 ワイアードジャパン
恐竜:産卵、一度に2個 は虫類、鳥類の中間形
2005/04 【日本語記事】 毎日新聞
恐竜の卵:一度に2個産む 恐竜から鳥類への進化過程示す 中国南部
2005/04 【日本語記事】 毎日新聞
2005/04 BBC News Eggs found inside dinosaur fossil
2005/04 National Geographic Dinosaur Eggs Discovered Inside Mother -- A First
2005/04 Scientific American Found: Fossil Dino Mom-to-Be Bearing Eggs
始祖鳥より原始的な鳥化石 中国、1億4千万年前地層:河北省承徳市「華美金鳳鳥
2005/03 ヤフージャパン(共同通信)
鳥の祖先は翼4つ? 中国で後ろ脚にも羽毛の化石 2004/10 asahi.com
脚にふさふさ羽毛の鳥化石 4翼飛行起源説有力に 2004/10 ヤフージャパン(共同通信)
飛翔に足も使った化石鳥類 2004/10 【日本語記事】 Nature@日本
古生物学:白亜紀初期の鳥の脚にあった羽毛
2004/10 Nature 431, 925 Palaeontology: Leg feathers in an Early Cretaceous bird
進化:中国で出土した鳥類様の睡眠姿勢をとる新属新種のトロオドン科恐竜
2004/10 Nature 431, 838 - 841 A new troodontid dinosaur from China with avian-like sleeping posture
「眠れる竜」に鳥の寝姿の起源をみる
2004/10 【日本語記事】 Nature@日本
恐竜も鳥のように眠る? 中国で新種の恐竜化石 2004/10 ヤフージャパン(共同通信)
2004/10 news@nature.com Fossil dinosaur slept like a bird
2004/10 BBC News 'Sleeping dragon' had bird repose
2004/10 Telegraph Chinese dragon caught napping after 130m years
2004/10 Guardian Dinosaur that slept like a bird
2004/10 National Geographic Fossil Shows Dinosaur Died In Its Sleep
羽毛持つティラノサウルス 最古の化石、中国で発掘 2004/10 ヤフージャパン(共同通信)
進化:中国で出土した原始的なティラノサウルス上科恐竜化石群とティラノサウルス上科恐竜に原羽毛があったことを示す証拠
2004/10 Nature 431, 680 - 684 Basal tyrannosauroids from China and evidence for protofeathers in tyrannosauroids
2004/10 news@nature.com Feathered ancestor of T. rex unearthed
2004/10 BBC News Fierce T. rex's 'fluffy' history
2004/10 New Scientist T. rex descended from feathered ancestor
前脚は推進、後ろ脚は滑空 鳥祖先恐竜の飛行法で新説
ミクロラプトル・グイ 中国科学院の徐星教授 2004/09 ヤフージャパン(共同通信)
鳥の進化めぐり新説 後翼、だんだん退化? 2004/09 asahi.com
後ろ脚にも翼の恐竜 鳥の祖先?ムササビ型で滑空 中国・遼寧省
1億2500万年前地層から化石 2003/01 毎日新聞
樹上から滑空か 鳥に最も近い恐竜化石、中国で発見 2003/01 asahi.com
中国で出土した4つの翼をもつ恐竜
2003/01 Nature 421, 335 - 340 Four-winged dinosaurs from China
恐竜、空を飛ぶ
2003/01 Nature 421, 323 - 324 Palaeontology: Dinosaurs take to the air
2003/01 New Scientist Four-winged dinosaur makes feathers fly
2003/01 National Geographic Four-Winged Dinosaurs Found in China, Experts Announce
2003/01 Nature Science Update Fossil boosts trees-down start for flight
2003/01 Guardian Chinese fossil clue to evolution of flight
2003/01 BBC News Four-winged dinos from China
以上2003年以降ぶんより
こんなふうに当該書が出版されたのちもあいかわらず「恐竜から鳥」報道がいろいろ流れているのだけれど、まだ実際のところは「恐竜から鳥が進化したのだ」とは確定してない。
恐竜について鼻の穴の位置や歩き方についてもごく最近通説がひっくり返されているようなありさまだし、今「これが恐竜だ」と言われている性質云々もいつまたひっくりかえるかもしれぬまだまだあやふやな世界、それがどうしてこんなにでかい顔をして「これが恐竜だ」とやってしまっていられるのか。
なぜ「恐竜」はこんなに「妄想」をかき集めるのかな。
タイタニックやカブトムシのように、ひとばらが寄ってたかる。
かき集まった「妄想」が科学的研究を阻害した例は 『ミイラはなぜ魅力的か』 にもNational Geographicがらみで挙がっていた。National Geographicの報道から南米の古代ミイラが人気を博したおかげで、遺跡が荒らされたりミイラの処遇を世間が云々したりで研究も何もわやになってしまったと。
ところで、鳥は恐竜から生まれたとしたら始祖鳥はどこに位置するのか。
そも「始祖鳥は鳥の祖先なのか?違うんじゃないか?」という話もあるわけで。
「鳥の起源と進化」 p.506
恐竜起源説を唱える人たちは「時代の矛盾」があることを認めないが、彼らが鳥類の祖先と信じる獣脚類のドロメオサウルスは白亜紀になって出現したのだ。
始祖鳥がいたのはその白亜紀後期初頭の恐竜さんたちより6000万年も前の時代。あれ?
いきおい、「恐竜から鳥が進化した」のではなく、「とある生物から恐竜も鳥も進化した」とう共通祖先の説も出てくる。
恐竜と共存していたカモの仲間 2005/01 【日本語記事】Nature@日本
化石:現生鳥類の白亜紀における放散を示す決定的な化石証拠
2005/01 Nature Definitive fossil evidence for the extant avian radiation in the Cretaceous
カモ類仲間化石:南極地層から
現代型鳥類は恐竜と共存 2005/01 毎日新聞
6800万年前にカモ類=恐竜絶滅前から存在
南極化石を再分析 2005/01 ヤフージャパン(時事通信)
2005/01 EurekAlert Relatives of living ducks and chickens existed alongside dinosaurs more than 65 million years ago
恐竜と鳥はいっしょの時代を生きていた。そいでもって、始祖鳥はなんの祖先でもなくとうに絶えた系統の痕跡に過ぎないと。
※ 鳥と恐竜は祖先を共有するとしたジョージ・オルシェフスキーのBCF仮説
『鳥と恐竜の関係に関する考察('03.07.18)改稿('03.07.28)』
「鳥の起源と進化」 p.12
鳥類の獣脚類起源説は、1973年にジョン・オストロムが復活させて以来、大衆紙や古生物学者の間で人気があるが、時間的な矛盾、飛行の地上起源、手の指をはじめとする解剖学的な問題点(第9章)など、越えなければならないハードルが多々ある。
「恐竜から鳥」説にはオカシイところはたくさんあるのに、真実の追究よりイマドキな流行が世の趨勢(すうせい)を決めてしまっている、何より「恐竜から鳥なはずだ」という憶測で研究したり報道したりしてしまっている例が多すぎる、と著者は嘆(なげ)く。
「鳥の起源と進化」 p.13
恐竜起源説に異論を唱える者はきわめて少なく、鳥類の起源論争は決着がついたと公言してはばからないのは古生物学者に多いだけでなく、『ネイチャー』誌の編集者にもいる。しかし、科学の真理は人気投票で決まるものではない。
と異議をいくら申し立てても、報道の内容は人気投票で決まってしまうものらしい。
内臓の痕跡がある恐竜化石が見つかって、それこそが大発見だったのに、報道はその化石にくっついていた”毛羽立ち”のような痕跡にばかり注目し、内臓の件を無視して「鳥に進化する恐竜だ!」と騒ぎ立ててくれた例とか。
皮膚の下のコラーゲン繊維は、化石では「けばだち」のような痕跡になって残るらしい。これが簡単に「恐竜温血説の信奉者によって「毛」と翻訳されて」しまいがちなのだそうだ。(p.499)
恐竜がダウンのような羽毛を生やしていたとしても、
「鳥の起源と進化」 p.189
なぜ恐竜は、雨にあたるとびしょ濡れになって、保温効果が期待できない綿羽で保温を図る必要があったのか? 綿羽だけにおおわれている時期のダチョウの雛は、雨が降ってきた時に親鳥が翼の下に入れて保護してやらないと、濡れて体温が下がり、死んでしまう。
と、鳥研究家にとってはワケワカメな自体になるのだが、これがなぜか古生物学方面では無問題になるらしいとのこと。
加えて、指が、見た目は似ていてもその由来が恐竜と鳥とでは決定的に異なるのだと。
「鳥の起源と進化」 p.537
鳥類と獣脚類は手の指が3本であることが共通していると考えられてきたが、発生学的に詳細に調べた結果、恐竜の指は1-2-3式であるのに対し、鳥類のは2-3-4式であることがわかった。
鳥の祖先は恐竜じゃないかも 〜ダチョウの卵
発生過程、ダチョウの3本指はヒトの第2,3,4指にあたるもの
恐竜では3本指は第1,2,3指にあたる
2002/08 Ananova Ostrich study 'shows birds didn't descend from dinosaurs'
2002/08 EurekAlert! Scientist says ostrich study confirms bird 'hands' unlike those of dinosaurs
それでも矛盾を無視したまま恐竜と鳥を近づけたがる物言いはあとをたたず。
それも中国から。
なんで「羽のある恐竜」は中国でばかり見つかるのか。
ここんとこがかなりキモいんだが。
「鳥の起源と進化」 p.13
中国で発見される化石はまゆつばものが多いのも問題だ。遼寧省にはベルトコンベヤで次々に化石を組み立てては、闇市場に出荷する「化石工場」があるからだ。その「製品」の多くはいくつかの化石を組み合わせたものだ(Nature 2000,406:930-932)。なかでも、『ナショナル・ジオグラフィック』誌に載った「Archaeoraptor(アルケオラプトル)」が悪名高い。「ミッシングリンク(行方不明の環)」の発見として、1999年11月号に掲載され、話題を呼んだが、のちに鳥の頭部と小型恐竜の体を組み合わせた偽物だと判明した(Science 2000,290:2221)。
業界をあざむくニセモノをこしらえてくれている中国。
これはピルトダウン人のようなウン十年も昔々の話じゃない、ついこないだ、6年前の話だ。
(「神の手」事件があった日本はヨソから見れば中国と同類?)
しかも中国には、ニセモノをこしらえてまでしてなりふり構わず科学にちょっかいを出したくなるような、何かがあるらしい。
「鳥の起源と進化」 p.13
中国の科学者は『サイエンス』や『ネイチャー』誌に論文が掲載されると、報奨金がもらえるという。たとえば、地理古生物学科学院からは600ドル、脊椎古生物学・古人類学院からは400ドル支給される(Science 2001,291:3237-3238)。なかには、『サイエンス』誌(2000年)では鳥の羽はうろこから進化したという説を唱えておきながら、翌年の『ネイチャー』誌には、繊維が進化したものであるという相容れない説を発表した中国人科学者もいる。
世界一の科学雑誌に論文が載ると国からたんまりほうびが出る中国。
中国的流儀(プラグマティズム?)で、載れば官軍、やったもの勝ち、いろいろ手を変え品を変え。
西欧的なお行儀の上で発展してきた「科学」を、まるで下卑たパロディのように異文化の流儀が根っこから脅かしてくれている。
西欧人は、異文化が科学をやるとどんな事態が発生するのかそこに全然免疫がないらしくて。どこの国も西欧的流儀で科学をやって当然だと思っていたような、素朴な傲慢さをお持ちであって。そして異例の事態の発生にコロリとダマされたり風穴開けられたりしてあわてふためくと。西洋腰巾着の日本含め。
このギャップは、先週のクローン幹細胞騒ぎ@韓国にも見られるし、 『バイオホラーなレトロ中国』 でもひとしきり。
中国は、お行儀の良い西洋のスキとツボを突いてくる。
中国の学者が、羽とは言いきれない繊維状の痕跡を羽だと決めつけると、報道側もそのまんまぜひ恐竜は鳥の祖先であってくれるほうがオイシイと思うのか、尻馬に乗って「恐竜が鳥に」と騒ぎ立てる。
「鳥の起源と進化」 p.188-189
羽の構造は細部にいたるまで空力学にかなっているにもかかわらず、【中略】温血恐竜の保温のために進化したと主張する研究者がいたり、何の裏付けもないのに、飛行機能を持った体羽におおわれた恐竜が描かれたりする。飛べる鳥の体羽に包まれたモノニクスの絵が『タイム』誌の1993年4月号の表紙を飾ったのには肝をつぶした。モノニクスは白亜紀後期に登場するシチメンチョウ大の獣脚類であるが、烏と勘違いされている。
ここで言う「羽」はダウンのような羽毛ではなく「飛翔用の羽」のこと。
中国的にも「鳥恐竜」の話にすれば科学雑誌に載りやすいのだと心得ている気配。
鳥は何から進化したのか、本当に恐竜に羽はあったのか。
部外者的には、もうこうなると、実際どっちが真実か鳥の祖先はなんなのか、なんてことより、その研究過程、中国を含め、よってたかる研究者と報道の姿勢の非科学さが、まずものすごい問題なのではないかと思えてくる。
そうそう中国、先月はこんな話まで出してくださっているわけで。
ホモサピエンスの発祥の地は中国?
2005/04 Xinhua News New evidence challenges hypothesis of modern human origins
2005/04 english.eastday.com New evidence challenges 'Out-of-Africa' hypothesis of modern human origins
さすがにこれは「羽毛恐竜」みたいに世界的に持ち上げるわけにはいかない説。でもしゃあしゃあとこれぶちあげてしまえる感覚って…。(去年北朝鮮も「人類の発祥の地は北朝鮮である」とやってたけど)
今ちょうど外交云々で日本と中国はもめてしまっているけれど、ソレ抜きにしても中国における処世感覚ってのはどこがどう他国と異なってしまっているのか、マジ十分検証把握しておく必要はあるんじゃないだろうか。
今一度、これを挙げておく。 『バイオホラーなレトロ中国』
しっかし万が一、「すべての羽毛恐竜は中国によるフェイクだった」なんてことになったらどないすんだべか。
中国以外の羽毛恐竜さん、どこかにいらっしゃったら名乗りをよろしゅう。

「鳥の起源と進化」については続きがあります
『鳥と恐竜の収斂進化、昆虫のトレードオフ』
学説が固まりきっていないのに、反対する見解を無視する形で新説が先走ってしまった例は、その後ホビット論争でも観察されます。
『まだまだ続くフローレス人論争(フロレス原人)』

追記2006/03
ドイツの恐竜は羽毛の痕跡などございませんよ
2006/03 PhysOrg.com German dino sets feathers flying
2006/03 National Geographic Scaly New Dinosaur Creates Flap Over Feathers' Evolution
羽毛が無かった羽毛恐竜 ドイツ南部で化石発見
2006/03 【日本語記事】 ヤフージャパン(共同通信)
恐竜:恐竜→鳥の流れに逆行 うろこ持つ化石発見−−ドイツ研究チーム
2006/03 【日本語記事】 毎日新聞
2006/03 Scientific American News: Scaly Dino Find Complicates Feather Evolution
古生物学:うろこと羽毛と恐竜と
2006/03 Nature Palaeontology: Scales, feathers and dinosaurs
進化:ジュラ紀後期のゾルンホーフェン礁湖堆積層で出土した新しい肉食恐竜
2006/03 Nature A new carnivorous dinosaur from the Late Jurassic Solnhofen archipelago
進化 : 羽毛恐竜の仲間なのに羽毛のない恐竜
ジュラ紀後期の小型肉食恐竜化石は稀少 ヨーロッパは2例のみ
2006/03 【日本語記事】 Nature@日本

●ディスカバリーチャンネル 「羽毛恐竜の誕生 空を飛ぶ原始の翼」
DVD (2005/09/23)
リージョン 2 (日本国内向け)
字幕スーパー
書籍情報と書評:アマゾン 日 .
へぇボタン:へぇ〜
と押してみるもよし

| 固定リンク








コメント